#title 「運動を作り、コミュニティを作る」:ロンドンのアナキスト社会センター #author J.W.E. Askew, Freedom Press #LISTtitle 「運動を作り、コミュニティを作る」:ロンドンのアナキスト社会センター #date 2021 #source https://note.com/bakuto_morikawa/n/n1a9a6dae78ed(2023年4月21日検索) #lang ja #pubdate 2023-04-21T11:34:05 #authors J.W.E. Askew, Freedom Press #topics アナキズム, イギリス #notes 原文掲載日:2021年5月26日
原文:[[https://freedomnews.org.uk/2021/05/26/movement-building-community-building-the-anarchist-social-centre-in-london/][https://freedomnews.org.uk/2021/05/26/movement-building-community-building-the-anarchist-social-centre-in-london/]]
著者:J゠W゠E゠アスキュー(bakuto morikawaより) [[http://56a.org.uk/][56Aインフォショップ]]は、エレファント&キャッスル地区の静かな一角にひっそりと佇んでいる。 ここは急進主義社会センター・書店・アーカイブである。ボランティアが運営し、資金の借り入れも全くない。 インフォショップの背景には、オルタナティヴな文化活動・社会活動・政治活動の場を創り出すという考えがある。 急進主義社会センターとは何だろうか?そう、社会センターには、多種多様な影響力を持っている。例えば、イングランドの建物占拠(スクウォット)には長い歴史があり、人々が急進的アイディアを実行し、活動や実験を行う場所として使われていた。ただ、56Aは、開店当初、インフォショップの考えにも刺激を受けていた。欧州の闘争的な都市の多くにはインフォショップが多数あり、会議の場・本や新聞の販売・人々が集まって政治的行動を秘密裏に計画する場を提供すると同時に、最もシンプルな考えも提供していた--モノを見つけ、何が起きているのか見つけに行く場所なのだ! 創設メンバーのCは、「私達がここをインフォショップと呼んだのは、当時、自分達の多くが急進主義政治に参加していて、社会闘争に関するニュースを広めるために欧州のネットワークを創っていたからです」と説明する。 「インターネット以前の時代でした。」 *** 「スクウォットは、もはや圧倒的運動じゃない」 56Aは急進主義者への情報拠点として1991年に設立された。ボランティアのJは56Aを「ロンドンのスクウォット゠シーンの遺品」だと述べている。 「本当に重要だった古いスクウォットの多くが、閉鎖されたり、開発されたりしてしまいました。」 「56Aはラストマン゠スタンディングですね。」 現在は家賃を支払っているが、56Aは1988年から2003年まで占拠された建物だった。 Cは、スクウォット運動衰退の背後には、2012年に住宅占拠が犯罪化されたことと同時に、都市構造の変化もあると考えている。 「今、この地区を散歩すると、ロンドンの他の場所と同じだと感じるでしょう。でも、30年前は、スクウォットがたくさんありました。今じゃ、この都市もすごく規制されて統制されて、そういうのはもう見られなくなってしまいました。」 「今は、誰もが大変な状態と闘っています。複数の仕事に就いて、安い給料で、家賃がバカ高い--これが、56Aのようなスペースを作るために必要な時間とエネルギーに影響しています」と彼は付け加えた。 *** 「上手く行っているのは、信頼し合っているから」 56Aはコレクティヴで組織されている。長くボランティアをしているDはこのことを次のように説明する。「私達は、ヒエラルキーなしに運営しています。責任者はいません。」 「だから、変化や適応の可能性がたくさん生まれます。物事が固定されないわけですから。」 56Aは、本・ジン・漫画の販売で存続し続けている。ジェスが述べているように「紙で作られたものなら何でも」売っている。ブラックパンサーからエコロジーまで--そして、その中間のあらゆることの--幅広いトピックに関する文書が売られている。 Jは次のように言っていた。「ここには、レアなアイテムがたくさんあります。他のところにはないような本がね。」

ボランティアが大切にしているのは、56Aのオープンアクセス゠アーカイブだ。ここには、1400冊の本、5万ものパンフレット・新聞・リーフレットがある。 「私達は過去の闘争と抵抗運動の歴史を保持し続けています」とDは言う。「以前よりも運動が弱い時には特に、それまで何が行われていたのか記録に残しておくのが不可欠です。」 「忘れちゃいけない知識もたくさんあるしね」と彼女は付け加えた。 *** 「ここはショップじゃないーコミュニティの実験だ」 56Aは、単なる書店を超え、人々が集まり、出会うことのできるスペースである。 「ただただ座って本を売りたいと思っている人は参加しません」とCは説明する。「私達は、人がやって来て、何をしようとしているのかに興味があるのです。」 「56Aはリビングルームみたいなものです。お茶を飲みに立ち寄るだけの人もいれば、一日中いる人もいます。」 アナキストのコレクティヴだが、56Aは全ての人に開かれていると彼は強調する。「ここは、自分が評価されているとか、何か間違ったことを言ってしまうんじゃないかと心配するとかいうような場所ではありません。」 「自然体で来てください。」 Jはこうした出会いの場が大切な理由を述べている。 「ロンドンには、何も買わずに行ける場所がどんどん少なくなっています。56Aのような場所は本当に大切です。資本に規定されないからです。」 「コミュニティには、金を使わずとも集まれる物理的スペースが必要です。」 「今、私達は、この都市に住めなくなる危機に瀕しています」と彼女は続けた。 *** 「私達は革命の化石じゃない」 しかし、56Aには急進主義がある。 「私達の政治を要約するなら、反資本主義ですね。」とCは説明する。 「私達は現在のシステムに対するオルタナティヴに興味があります。分かっていますよ。これは困難で、ほとんど不可能です。でも、私達は可能性の実例を示そうとしているし、何らかの形で刺激になればいいなと思っています。」 彼は付け加えて言う。「オンラインで政治は行えません。運動を動かすのは二点。まず、一緒にいろいろやる人達が必要です。自分一人で政治はやれません。そして、56Aのようなスペースが必要です。こうしたスペースはインフラなのです。」 変化し続ける政治的文脈の中で、ボランティア達は、56Aはダイナミックにならねばならないと考えている。 「私達は、いつも、自分達が何者なのか、政治的にどこから来たのか、このスペースで何をしたいと思っているのかをいつも問い続けています」とCは言う。 「アイディアの宝庫として機能するのは素晴らしい」と続ける。「でも、ここにやって来て、退屈な古いアナキズムのパンフレットばかりだと、誰にとっても何の意味もないですよね。」 「すごいことですが、ここ数年で、特にブラック゠ライヴズ゠マターと廃止論運動によって、急進主義思想は新しく作り替えられ、権力・抑圧・国家を批判するようになりました。」 「私達は、こうした闘争に参加している若い人たちと関われるか問わねばなりません。」 56Aは地元で政治的に活動している。相互扶助ネットワーク・労働組合の組織化・獄中者連帯・トランス-クィア活動主義に加え、メンバーは、「アップ゠ジ゠エレファント」反ジェントリフィケーション゠キャンペーンと人種差別学校教育反対活動に参加している。 「巨視的に見れば、とんでもなくお先真っ暗です」とCは述べる。「でも、56Aは存在し続けねばなりません。」 「私達は信じています。小さいなりに、この場所は変化をもたらせるのです。」 「希望もね」とJは付け加えた。 J゠W゠E゠アスキュー