タイトル: 強制収容所の絶望と怒り。ウクライナ大戦争2周年、アセンブリーへのインタビュー
著者名: assembly.org.ua
発行日: 2024年2月
ソース: https://note.com/bakuto_morikawa/n/nd2ea174c2b55(2024年4月22日検索)

これは、communaut.org と diebuchmacherei.de が現在製作中の革命的反戦左翼に関する書籍プロジェクトのために冬に行われた対談である。インタビュアーの同意を得て、ドイツ語版の出版前に掲載する。

1.現在ハルキウでの日常生活はどのようなものですか?日常生活とは、後ほど話題にする政治活動という意味ではなく、一般的な労働者の日々の生活のことです。今も仕事はありますか?仕事でどの程度生活できていますか?社会保障とインフラはどうですか?失業保険と充分な医療ケアはありますか?時にはカフェやバーに座ってお喋りしていますか?話し相手はいますか?それとも、何もかも戦争に飲み込まれたり、必要最低限のものしかなかったりしているのですか?

これは、別な対談ができるほどボリュームのある質問ですね。ごく一般的に言えば、新年の前夜、私達は2024年の見通しについて包括的な分析を発表しました。その中で、国家間の戦争を国家に対する戦争に変えられる革命的情況が成熟する決定的年になると述べました。この分析はロシア語・英語・フランス語・イタリア語・スペイン語に翻訳されています。私達の都市について具体的に言えば…ウクライナが欧州の裏庭だとすれば、ロシア国境近くにあるハルキウは、ウクライナの裏庭です。ここの人々は、スリルが好きで暮らしているか、完全な絶望で暮らしているかのどちらかです。ざっくり言うと、夜9時に消灯する刑務所ですね。2020年、当時の市長のケルネスによれば、ハルキウ市民の平均年齢は35歳で、全面戦争が始まった時に市民のほとんどは年金生活者、今、住民の平均年齢は約50歳です。これは公共の場で目にした印象に過ぎないのですが、徴兵年齢(ウクライナでは18歳から60歳で、ほとんどが出国を禁止されています)の男性は大抵、家から出る危険を冒さず、通りに出る時はもっぱら車を使うようにしています。鬱病・アルコール依存症・完全な悲しみ。船は長い間海底に沈んでいるのに、乗客は船室に閉じこもって、誰かが助けてくれるまで充分な空気があると思っているのです…。

良かったことを挙げると、ハルキウの公益サービスは正常に提供されており、この冬に停電があっても、技術的障害によるもので、せいぜい数時間程度でした。電気・ガス・暖房、全て揃っています。ロシア軍は現在、発電所ではなく、彼等が軍事企業・倉庫・人員が配置されている場所だと考えているところを爆撃しています。公式には、全面侵攻前のハルキウの推定人口は200万人で、現在は120万人から140万人がいます。しかし、これは主として、もっと前線にある領土からの移民のためです。地元の人間がどのぐらい残っているのかは分かりません。さらに、ハルキウ州の耕地面積はウクライナ第三位、2023年終わりには売上高でウクライナの絶対的トップでした。住民の消滅はブルジョア階級の一部にかなり利益をもたらしています。

また、失業の実態も推測するしかありません。徴兵を恐れて、多くの人達が職業センターに登録したがらないためです。しかし、半年前、私達は、兵役義務のある男性が動員されたために、ハルキウの企業で女性と年金受給者が代わりに働いているという記事を掲載しました。第一次世界大戦中の西欧とよく似ているのではないでしょうか。それにもかかわらず、ハルキウでの動員目的の誘拐について1月の記事でお伝えしたように、多くの経済分野で労働者が著しく不足しています。これが続けば、市内唯一の公共交通機関は、通行人を捕まえるために車を呼ぶ「無敵のバス」だけになってしまいます(非公式プロパガンダの決まり文句「無敵のハルキウ」を暗示しています)。街頭の治安が悪化し、寄付も減少しているため、私達のグループはこの冬、支援を必要とする住民への人道支援からメディア活動の展開へ活動の焦点を変えざるを得ませんでした。私達は、ウェブサイトの見た目を変えたくはありません。この地域のネット接続は頻繁に悪くなり、より複雑なデザインでは、地元の読者が開きにくくなってしまいます。むしろ、コンテンツの質を向上させ、多くの読者を巻き込むことに焦点を当てていきます。これを支援するために、「東ウクライナ相互扶助アラート」への募金をお願いします。

とりわけ、2月9日の夕方、ロシアのドローンが私達の市の住宅地中心部にある石油貯蔵所を攻撃しました。この会社はこれまで二度消防法違反で少額の罰金を科されていたのですが、何の対策もしていなかったようです。燃料が燃えて、地域一体に流出し、3人の子供のいる2つの家族を焼き殺し、少なくとも4つの川を石油製品で真っ黒になりました。私達のチームもこの環境災害との戦いに参加し、水際の茂みを調べて、石油で汚染されたり、石油に害されたりした野鳥を探しました。

2.現在、ウクライナ軍は兵士不足です。そのため、新兵募集に関わる新しい法律が成立しました。通知を受け取った徴兵年齢の男性は、48時間以内に返答しなければならず、その後に徴募されます。しかし、士気はなくなっているようです。あなた方は最近の記事で戦争に反対する多くの抗議行動について報告していました。例えば、多くの都市で女性達が夫を軍役から解放するよう抗議行動を行いました。現在のウクライナ女性達の雰囲気と戦争継続に対するこうした態度をどう評価していますか?ウクライナの雰囲気は変わったのでしょうか?

ウクライナ女性が何を考えているかについて、正確な数字はありません。多くの人が世論調査で本当の思いを表明するのを恐れているからです。男性親族が戦争で戦っている人達の中でさえ、正反対の意見があります。最大限の動員強化を望んでいる人達もいます。自分達と同じように誰もが苦しむべきだと考えているのです(泥沼から這い出る力のない人々が、他者を引きずり込もうとするように)。逆に、即時停戦の和平交渉を通じて直ちに戦闘を止めてほしいと考えている人達もいます。

注目すべきことに、ハルキウで、画像のゾンダーコマンドを使って集団的防衛について話している間に、トランスカルパティアではこれが現実のものになり始めました。そこでは女性達が襲撃に抵抗し始めています。つまり、ウクライナの様々な場所で情況は大きく異なります。まず、ウジュホロドは比較的小さな都市で、その住人は互いに疎外されてはいません。多くの人が踊り場で隣人に会っても誰か分からない大都会とは違います。第2に、トランスカルパティアの住民は、爆撃と外出禁止令による慢性的ストレスで疲弊しているわけではありません。活気に満ちた経済生活があり、全国からビジネスと資金が流入しています。しかも、最西端の地域には、ロシア国境付近のように「波風を立て」れば間接的に侵略者につけ込まれるといった緊迫感がありません。言い換えると、1917年にハルキウは後方の工業拠点として階級闘争の最前線にいて、ウクライナ西部が戦争で荒廃したとすれば、今は全てが正反対なのです。

3.あなた方の政治活動とアジテーションは、当初から脱走と反戦ボイコットの奨励を強く意識したものでした。この活動は昨年どのように変わりましたか?

大きくは変わっていません。アセンブリーはオンラインニューズレターです。私達が少しでも脱走兵を助けられるとすれば、その行為に政治的正当性を与えることだけです。彼等が良心の呵責にさいなまれず、自分達の拒絶を誇りに思えるようにするためです。彼等は、現代欧州で唯一可能な最悪の反動の権化、ウラドルフ゠プトラーにもフランソワ゠デュヴァリエにも仕えることを拒絶し、占領している植民地遠征軍か1991年以来ウクライナ支配階級が奪ったものの防衛かという選択を拒絶しているのです。脱走兵支援は、ロシアの自由主義者によるイニシアティヴ「森へ行こう」も行っています。そこには数十人のボランティアがいて、私達よりも多くの経験を持つオルガナイザーがいます(話は逸れますが、彼等への相談件数は急増しています:2023年全体で脱走に関する相談が727件、脱走支援が235件ありましたが、2024年1月だけで既に161件の相談を受け、35件の支援をしています。こうした話は、まさに、ロシア動員兵士の大半が従軍しているドンバスの国境地帯で報告されています。)私達は彼等と連絡を取り、情報を共有していますが、ウクライナで同じことをするのは不可能です。国の規模が小さく(つまり、部隊から脱走した人を捕まえ易い)、兵役に就いていない男性でさえ出国が禁止されているからです。だからこそ、私達は戦いたくない人達(軍人だけでなく民間人も)にとって、一種のイデオロギー的中核になろうと努力するしかありません。これは、単なる自己保存本能の現れというだけでなく、他人の別荘やヨットのために殺したり死んだりすることに同意しないという意識的立場にもなるようにするためです。新ウクライナ派の支持者でさえ、大抵、他の立場はないと前々から理解しています。昨年で、ロシア軍が占領地から撤退しない限り、ウクライナ軍では撤退させられず、このままでは無意味な処分者しか生まれないと納得させられました。クレムリンが彼等を降伏させる準備をしていると信じるに足る根拠がない以上、希望が残っているのは下からのプロセスです。兵士達は、本当の敵は塹壕の向こう側にではなく、行政庁舎を囲むフェンスの向こう側にいると理解しなければならないのです。

ロシア軍が内部から崩壊するまで、ウクライナでは恐らく受動的抵抗が主流になるでしょう--国家の視界にできるだけ入らないようにし、海外の資産を引き出し、残されたあらゆる方法で国外に脱出するのです。NBUの推計によれば、これまで国内への通貨流入の主要経路の一つだった海外渡航者からの送金額は減少しています。2021年に140億ドルでしたが、2022年は125億ドル、昨年は11カ月間で106億ドルでした。同時に、全面戦争開始後、ウクライナの銀行カードから「旅行」カテゴリーの資金流出が大幅に増加しました。一昨年は200億ドルで、昨年は180億ドルです。プロの愛国者が「誰もが戦うべきだが、私は暖かい場所の方で必要とされている」というような暴言を吐くたびに、一刻も早くこの国と決別したいという気持ちにしかなりません。ただ、ウクライナのソーシャルネットワーク上で、ここ半年間、「擁護派」と「拒否派」という条件付きの当事者間で、1919年のドイツの出来事に匹敵するほど深刻な本当の内戦が始まっています。ロシアとの活発な戦闘段階が終わった後、これがオフラインで行われるかどうかは時間が経てば分るでしょう。ただ、これが、個人的恨みを晴らす原始的戦いではなく、新たな未来像のための戦いとなるよう今すぐ措置を講じなければなりません。

ところで、ウクライナでは、アナキズム運動が事実上存在しているにもかかわらず、「自発的黒色テロ」という個人的行動が既に行われています。この秋の調査で得られたエピソードに加え、私達はチェルカースィ州のザシキウ(Zhashkiv)でもう一つの事例を記録しました。12月25日の夜、何者かがF-1手榴弾をある入隊軍人の私有地に投げ込み、その破片がフェンスとガス管を破損させました。また、2月8日には、無職で33歳のニーコポリ住民が車の中にいた副市長を射殺しました。副市長には汚職の疑いが掛けられていました。捜査によると、他の市職員への襲撃も準備していたそうです。私達の観点からすれば、こうした自暴自棄の措置は、体制全体への脅威にはなりません。これは社会の緊張が高まっている指標に過ぎません。ちょっと想像してみてください。隣人(ロシア)があなたの家に火を付ける。あなたや家族の誰かが家の中にいる。外では、あなたの税金で生活している誰かが銃を突き付けて、外出禁止だ、家もろとも燃えろ、と強要している。想像しました?これがウクライナの民衆と国家の関係なのです…。

4.以前のインタビューで、多くの人があなた方の組織を利用したものの、政治的にはなっていなかったと書いていました。この点について何か変化はありますか?

ええ、実際、ウェブサイトの問い合わせフォームには多くの人から連絡があり、食料や医薬品が必要だとメールしてくれました。その後、私達は彼等の助力になれるよう活動しました。しかし、全面戦争が始まった当初に、こうしたインフォーマルな支援ネットワークは全ての地域に広がりました。アセンブリーはユニークなものではなく、パズルの一片に過ぎませんでした。今、住民は確かに徐々に政治的になっています。ただ、その基盤は、水平型の自主組織ではなく、トップが行う行為と計画への不満です。2月7日、極めて厳しい動員強化法案が第一読会で採択されました。今後どのような変化が起こるのか分かりませんが、唯一ハッキリしているのは、こんなことをしても苦悩する政権の助けにはならないということです。国会議員と大統領府がこの法律の採択を強行しても、不満を抱く批判的大衆がどこかに消え失せるどころか、さらに敵意を募らせるだけです。そんなことをしても、街路のバスに放り込まれる人達以外、彼等のために戦いに行く人などいないのです!

5.ゼレンスキー政府は昨年、新兵徴募の措置だけでなく、他にも権威主義的措置をとりました。例えば、戦争中の選挙中止です。こうした情況下で政治活動は可能なのでしょうか、それとも、秘密裏に活動しなければならないのでしょうか?こうした政府の措置にウクライナ住民はどのように反応しているのでしょうか?

おっしゃるとおりです。12月29日にハルキウを含めた様々な都市に対するロシアの攻撃、そして、翌日にウクライナが行ったベルゴロドへの攻撃は、双方で多数の民間人を殺し、秋に高まりつつあった敵対関係の段階的衰退と減少に向かう傾向に歯止めをかけました。それにも関わらず、12月25日にウクライナ国会に提出された動員と徴兵忌避者の責任を強化する第10378法案と第10379法案は、約50万人の新兵の徴募を確実にし、情報分野を震撼させました。これが、この国では軍国主義の狂気にウンザリした人々のクリティカルマスが既に作られていると証明しています。ほとんどの人にとって、どの旗の下で強奪されようがもはや根本的な違いはありません。一方、このどんよりした失意と絶望は、一方ではあらゆる社会的活動への意欲を麻痺させ、他方では、誰も強奪しないようにするためにはどうすればよいか人々に考えさせもします。この理由から、革命的情況が近づいていると私達は述べています。

徴兵年齢の男性は国家との接触を可能な限り断ち切り、グレーゾーンに行かなければならない。このアセンブリーの10月テーゼは、全国的アジェンダの中心になりました。国中で、銀行カードから大量の資金を引き出すとか、徴兵対象ではない家族メンバーに財産を移譲するといったパニック的なことが話され始めています。たぶん、あなたはエーリヒ゠マリア゠レマルクの「最も戦いたがっている人は、戦争に行かない人達だ」という言葉をご存じでしょう。しかし、夏の反攻が失敗した後、この半年間で、あらゆる国家機関に対する信頼と忠誠は低下しました。それと共に、物言わぬ多数派だけでなく、情熱的少数派の一部すらも、現在の政策の基軸「1991年の国境に到達する」に反対しています。戦争が勝利で終わるまでの有権者(今も、女性・移民・年金受給者・様々な猶予を持つ男性といった人々が残っています)は、大統領職への返り咲きを狙うチョコレート王に引き抜かれつつあるので、今年のゼの一味への支援は抑圧的で官僚的な縦割りのままで、彼等に金が入る限り続くでしょう。

6.ウクライナ国家内部、特に軍事組織内部で、右翼グループの役割が繰り返し強調されています。この1年で、このスペクトルはどのように変化したのでしょうか?戦争が続いている結果、こうした組織の権力が強化されたり、さらには拡大したりしているのでしょうか?

現時点で、2022年と比較して、ウクライナの右翼イデオロギーと運動の影響力が増した兆候はありません。ただ言えるのは、彼等は自分達の時代が終わりつつあると感じているようで、レトリックの面でさらに攻撃的に振る舞って、兵卒の減少を補おうとしています。また、彼等の影響力が将来増加するとも思えません。右翼政治勢力による30年の支配で、荒廃・死・海外移住以外にこの国に何ももたらさなかったのですから。同時に、極右は民衆のあらゆる感情を自分達の利益になるよう利用しかねません。西欧諸国では、新型コロナウイルスによる隔離期間中にこれが明らかになりました。彼等のレトリックは時としてアナキストや左翼と似ていました。従って、極右の一部が、この戦争を「スラブ民族を互いに戦わせて滅ぼそうとする陰謀」だとして反対しようとする可能性は充分あります。特に東欧で見られる反ユダヤ主義のレベルでなら何でもありなのです。

7.ウクライナの支配階級と政治はどのような情況にありますか?この1年で何か権力の変化があったのでしょうか?このことについてコメントをお願いできますか?

簡単に言うと、ウクライナの支配階級は政治的危機にあり、2つの暫定的党派に分裂しています。ゼとザです。ご存じの通り、2月8日に大統領はウクライナ軍総司令官を更迭しました。戦時下に人気のある将官についてこうしたスキャンダラスな決定をしたのにはやむにやまれぬ理由がありました。2024年3月末に大統領の公的権力が失われると、権力の正統性に空白が生じ、ザルジニーは大統領職争いでゼレンスキーの主たる競争相手になりかねない。そして、活動中の総司令官であれば、引退した後以上にこうした争いに好機がある。だから、この決定でスキャンダルは避けられなくても、大統領府は法定期間が終わる前に実行したかったのです。この件で軍事クーデターがあるかもしれないという噂もありましたが、大統領府はロシアの脅威が持つ抑止力に賭けたのでしょう。ロシアはクーデターと軍の一時的混乱を利用して前線を突破し、新しい領土を掌握できる。だから、西側同盟はこうしたシナリオを許さなかった。そして、クーデターの脅威無しに総司令官を解任し、いつもの政治的陰謀が始まった。現政権は経験豊富で、勝利する可能性が高い、というわけです。要するに、この国は最近まで前世紀のラテンアメリカに似ていたのです。軍事独裁政権を築こうとする文民官僚か、ともかくも軍事独裁政権か、この岐路に立っています。現在のところ、第一の選択肢が勝っています。

8.他の左翼や革命グループと連絡を取り合っていますか?2022年8月のインタビューでは、アナキスト左翼はほとんど完全に戦争に吸収されたとかなり暗い像を描いていました。復活を遂げたグループはあったのでしょうか、それとも、戦争で認識できないほど本当にバラバラにされてしまったのでしょうか?

昨年以来、私達は、ウクライナに現れた2つの左翼プロジェクト「学生活動家組織(OSA)」とニュースチャンネルNMオデッサ(「沈黙するなオデッサ」といった意味です)と協働しています。OSAはハルキウを含めた複数の都市で活動し、12月末には、彼等の活動(私達はメディアで取り上げました)のおかげで、ハルキウ工科大学の多くの学生に対する奨学金剥奪が取り消されました。これについては、ロシア語・英語・フランス語で読めます(この報告には、私達の圧力が一助となって、同じ月にハルキウ市街地に路面電車が復活したことも載っています)。2つ目は拷問に真っ先に反応しました。9月にハルキウとクルィヴィーイ゠リーフ出身の2人の男性が動員後にポーランド国境を越えようとして拘束され、拷問されたのです。このスキャンダルのおかげで、関係者達に対する刑事事件が起こされ、最近、裁判所に提訴されました(これについてはロシア語版と英語版を参照してください)。現在、このチャンネルは、オデッサで軍の誘拐チームから身を守るための唐辛子スプレーを無料で配布しています。

どちらのイニシアティヴも自信をアナキストとは考えていません。それ以上に、OSAは2014年のマイダン反啓蒙主義クーデターを肯定的に評価している一方、NMOはロシア国家をファシスト(そして、ウクライナより遥かに成熟したファシズム)と見なしているにもかかわらず、クレムリンのプロパガンダから反マイダン寓話を時折掲載しています。ですから、私達は完全に同じ考えを持っていません。しかし、このようなグループの出現は、あからさまな社会的排外主義と軍国主義がウクライナの左翼サークルでもはやトレンドではなく、それを公的アジェンダにしようとするのは過去のものになりつつあると示しています。つまり、アセンブリーの考えが広範な大衆意識に入り込み、私達の活動は無駄ではなかったということなのです!

9.2022年にイタリアの同志達が行ったインタビューの最後に、イタリア語圏の読者に何か言いたいことがあるかと聞かれていましたね。今、ベルリンの出版社と本のための対談をしているわけですが、ハルキウからドイツ語圏の読者に何か伝えたいことはありますか?

分かりました。ドイツは今ウクライナ難民にとって最も人気の国になりつつあります。ウクライナは、当局がウクライナのパスポートを持つ全ての人を、文字通りの意味で自分達の個人的財産と見なしている「自由な国」です。従って、奴隷所有者として彼等は、奴隷から金を稼ぎ、奴隷を搾取する独占的権利を持っています。奴隷が海外に渡った場合、所有者にとっては損失であり、補償金を懐に入れるか、奴隷を馬小屋に戻すかのどちらかを求めます。同じようなことが米国南北戦争前の19世紀にも起こりました(繰り返しますが、この比較はレトリックではなく、文字通りのものです)。氷に覆われたティサ川を超えてEUに脱出するのと、小説『アンクル゠トムの小屋』で冬のオハイオ川を渡って逃げるのとの違いは、追跡者がドローンと熱探知カメラを使っているかどうかだけです。既に20人の男がこの川でこうした試みをして死んでいます(さらに、ウクライナ国家国境警備隊の報告によれば、2週間前、ハルキウ州の同胞がプルト川で溺死しました)。奴隷は南部から北部へ逃げ、奴隷所有者は、奴隷を返すか奴隷の対価を払え、と要求しました。そして今、国家元首がドイツに対して、ウクライナ難民への社会的支援に充てられた資金を送金するよう要求しています(私達が示さずとも、最近行われたドイツ公共放送連盟によるゼレンスキーのインタビューを見つけられるでしょう)。当たり前ですが、彼や彼の一味の代表が、戦争中に国から逃げた人々は強制送還されるべきだとか、欧州での逃亡者の生活水準をウクライナの水準に引き下げるべきだとか述べるたびに、ますます多くの難民が新しい土地に定住したいと思うのです。そして、難民がホスト国の革命運動に統合される機会が開かれる。結局、ウクライナ人はもはや、国家の利益が労働者の利益と同じだという幻想を全く抱けないのです。この機会を利用して、お互いの経験を積極的に交換しましょう!

これを行うために、私達は、5月20日~26日にプラハで開催される「国際行動週間」に参加します。どのような形で参加するかは未定です(明日に何が起こるか誰にも分かりません)が、関心ある方は是非参加してください。このインタビューを読んで、私達と同じように考えている人は、私達と同じ隊列にいます。何故なら、無関心と絶望が蔓延するこの時代に、私達が活動できるのは皆さん、そして皆さんと同じような人たちのおかげだからです。

いろいろとありがとう。選んだ道を外れないようにしましょう!アナーキーへ!

2024年2月中旬