タイトル: FAUDA、パレスチナのアナキストとのインタビュー
著者名: AbolishtheUSA
発行日: 2023/10/24
ソース: https://intimitescriminelles.noblogs.org/?p=61
備考: * In-depth interviews with 3 members of FAUDA, the anarchist movement in Palestine via @abolishtheusa (instagram): translated in Japanese by Ranko and Iori

第一部 メンバー1

ここではみんな苦しんでる。一番の悲劇はガザだけど、ヨルダン川西岸とイスラエル占領地帯の人々も個人と集団の自由を奪われている。ここ数週間でパレスチナ人の逮捕と拷問がものすごく増えた。普段から酷かったけど、この数週間でもっと増えたのは西岸やイスラエル占領地での反抗を恐れてのことだと思う。昨日はガザのアルマ・マダニ病院を空爆されて、多くの子供を含む1500人が殺された。聞こえてる??子供だよ…

この虐殺で罪のない女性や子供が1000人近く殺された。世界はこの虐殺の犯人であるナチス・イスラエルの素顔を知るべきだ。想像してみて。あなたの子供が心休まる安全な場所を探して病院に逃げ込む。けれどあなたが子供に会いに病院に着いた時には、子供のバラバラになった死体しか待っていない...

そう、これがナチス・イスラエルがガザでやっていること。バプテスト(アハリー・アラブ)病院では、イスラエルによる空爆で600人以上の女性や子供がバラバラの死体にされた。


あなたの周りの人にここで何が起こっているかを知らせて

占領のウソではなくて

真実を教えてあげて


私たちがパレスチナで運動を始めたのは4年前。その時はアナキズムについて深い知識はなかったけど、アメリカやイギリスで勉強したメンバーのおかげでアナキズムをより深く理解できるようになったし、そのおかげでここパレスチナでもアナキストなアプローチをしようと思った。

パレスチナでアナキズムを実施しようと思った主な理由は、まず、アナキストは個人の思考の自由と同時に、違う意見や他人の自由をも受け入れるという考え方だから。次に、アナキズムが政府や権力に対し反対意見を見せるために使われる手段だから。今までパレスチナの若者たちがプロテストをするときは、残念ながら古い手段しか使っていなかった。けれど私たちが欧米のアナキズムについて学んだとき、占領に対抗するための手段が他にもいろいろ存在することを知った。

例えば、一部のパレスチナの若者にとっては、武力闘争のみが占領に抵抗する手段であり続けている。でもイスラエルの防御はとても固いから、残念ながら私たちが「一人狼作戦」と呼んでいるこの武力を使った抵抗は、イスラエルのアパルトヘイト体制とその治安部隊に大きな影響を与えることなく、多くのパレスチナの若者を死に至らしめることが多い。重要なのは、パレスチナの青年たちの命は誰も気をとめない些細な死に直面しているということ。だからこそ、私たちはアナキズムに基づくほかの抵抗手段を導入することにした。セキュリティ上の理由で現地の現状や計画は明かせないけれど、私たちは西岸を主にパレスチナ領土全体に散らばってアクションを起こしている。


私たちの運動は複数の軸を中心に進められている。一つ目の軸はパレスチナの若者に占領に対抗する新しい手段を教え訓練すること(教育部)。二つ目はこれらの手段を現場で実地すること(実行部)。三つめはイスラエル政府による虐殺、逮捕、人道的犯罪、そしてパレスチナ人の人権の否定を報道し続け、アナキストを含むすべての人々の意識から忘れられないようにすること(Al-Wehdaニュース)。四つ目はパレスチナの歴史、イスラエルとの対抗の歴史、新しい世代が経験するであろう思考の変化についての重大な情報を拡散すること(メディア部)。今の情報戦争では、イスラエルが私有するアラブ語のチャンネルなどを通して歴史的事実や現場の様子がイスラエルの都合によってゆがめられていて、真実が報道されないからこの部が必要とされている。残念ながらセキュリティ上の問題で写真は遅れないけれど、私たちのテレグラムグループ @fauda_ps と @fauda_education で少し見れるよ。


私たちが求めるのは平和だけ。

自由を与えてほしいだけ。

そして私たちの土地を返してほしいだけ。


私たちが安全に抵抗するために、そして他者を助けるために必要なものはたくさんある。例えば...


1.プロテスト中の安全確保のためのヘルメット、ゴーグル、ガスマスクと手袋。

2.包帯や痛み止めなどの医療用品。

3.バナー、ポスター、スピーカー。

4.スマートフォンとウォーキートーキー。

5.長時間のデモ様の水、スナック、軽食。

6.アナキズム運動を象徴する旗や服(特にブラックブロックデモの時に必要)

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8.出来事を記録するためのノート、ペン、カメラ。

9.緊急時に必要な身分情報や書類。

10.アナキストや貧しいパレスチナ人の医用費に使える資金。

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12.[編集]、またデモ中に自分の身を守るための道具、例えば[編集]、コンピューターケーブル、[編集]、木の板、道路を閉鎖するための道具、そして警察や軍隊の視界を狭めるための[編集]。

上記のものは寄付を使ってそろえている。あなたがどのチャリティーに寄付しようと私たちはそれをサポートするけれど、ほとんどの場合その資金はパレスチナ人の元へは届かない。国際機関への寄付なんて特にそう。90%の場合、占領政府によってその寄付はパレスチナ人に届く前に止められるんだ。

第二部&三部 メンバー2

2020年のジョージ・フロイド殺害後にアメリカで起きた反差別運動やアナキスト運動をきっかけに、ここパレスチナでも運動をはじめることにした。私たちはハマスのような軍事運動になりたくなかったけど、同時に、何もしないままでもいたくなかった。イスラエルはまさにアパルトヘイト政府。シオニストは人種差別主義者。けれど私たちはユダヤ人を批判してはいない。多くのユダヤ人が私たちを手伝い続けてくれている一方で、シオニストはアラブ人全員をパレスチナから追い出そうとしている。彼らは私たちの家を占領し、イスラエル軍が女性や子供を攻撃するのをサポートしている。だからこそ、イスラエルに抵抗するためにパレスチナ人の誇りを持った若者で団結する必要があった。この運動のメインスタッフとして活動する人たちは、西岸地区やガザ、48年の占領地区を含むパレスチナ全土に存在する。

私たちはアナキスト集団。もちろんアナキスト運動にリーダーは決められない。世界各地でリーダーのない運動として活動しているから。中東では、多くのリーダーや政党のトップ政治家が、自分自身や政党内の利益のために運動の目的や価値観を途中で変えてきた。パレスチナでは、マハムド・アバス率いる多くの政治家たちが腐敗していて、イスラエル政府と経済と安全保障の面で手を組んでいる。イスラエル政府内のアラブ人政治家も、イスラエルの主権を認めた腐敗者たちだ。

FAUDAは複数のメインメンバーで構成される運営チームによって動いていて、この運営チームがキャンペーンやデモ、作戦などの指示を出している。このグループの下には4つの部署がある。各部署にはマネジャーと数十人のパレスチナ人の若者が所属していて、パレスチナ全土、特に西岸で活動している。所属していない人もプロテストには多く参加してくれている。

アパルトヘイト・イスラエルの監獄には、7000人以上の無実なパレスチナ人がとらわれている。その中には女性やティーンエイジャーもいる。幼いころに投獄され15年間以上監獄にいる人もいる。

彼らは無実で理由もなく投獄されているのに、イスラエルは裁判をも許可していない。私たちはこれを「現象」(اعتقال الإداري) と呼んでいる。このアラブ語の言葉を検索すれば、人質たちの残酷で不公平な扱いについて読むことができる。

FAUDAはこの人質たちの支援のためにアクションを起こしている。複数の街でイスラエル警察本社前で集会を開いた。SNSでキャンペーンも行った。家族が投獄されている人々に会いに行き、イスラエル政権が人質にどのような拷問をしているかについて話してもらった。残念ながら、私たちの人道的活動さえもイスラエル政府により脅威とみなされている。それが理由で多くのアクションの写真を公開できない。

私たちは大規模な国際機関を否定している。それは彼らが結局いつもイスラエル側に立つか、受け身だからだ。パレスチナの若者がシオニスト入植者やイスラエル政府に殺されたり、イスラエル戦闘機がガザに爆弾を落とし無実な市民を殺すとき、国際機関は何もしてくれない。彼らは非難の言葉のみ発するが、それになんの意味があるのだろうか?イスラエルは無防備なパレスチナ人に対して好き勝手しているけど、国際機関はそれに対し後悔を表明するだけ!

けれど抑圧されているパレスチナ人の人質の声になり、彼らの家族を助けるためなら、私たちは国際機関とも手を組もうと思っていることを、世界のアナキストと人道団体に伝えたい。ファシスト・イスラエルは理由もなくパレスチナ家族の父親を投獄し、そのような家族は収入がゼロになり貧しくなってしまう。父親が何年間も捕らわれたままだと、その間家族を支えてくれる人は誰もいない。自由を愛する世界の団体に、この問題に興味を持ち私たちに力を貸してくれるよう頼みたい。

私たちは、パレスチナ人一人一人がイスラエルのアパルトヘイト政府に対する嫌悪を表明すること、それが抵抗への道だと信じている。抵抗とはなんだろうか?抵抗とは、あらゆる力強さと創造力を持って敵の前に立ちはだかり、自分の権利をあきらめないこと。この抵抗の考えにFAUDA運動は基づいている。学生、詩人、教師、画家、音楽家、歌手、メディア活動家、販売者、戦闘者、みなが嫌悪を表明し物理的なアクションを起こすことが民衆の抵抗になると、私たちは今まで述べてきた。抵抗は民衆の抵抗であるべきだ。外国の軍や機関が助けに来るのを待っていてはいけない。この運動で私たちは、すべての人々がイスラエルの差別的な政策に対抗しそのためになら死ねる道を築いてきた。今、この運動は重大な時期を迎えている。かつては小規模な運動だったけれど神の御恵みにより今はパレスチナ全土に広まっているし、様々な報道、文化、社会機関やラマダンの月、ゲリラや反イスラエル警察キャンペーンなどを通して活動している。これは全国の民衆の抵抗であり、民衆の抵抗は抑圧的なファシスト政権に常に打ち勝つことは歴史が証明している。パレスチナだけでなく、イスラエルに占領されたシリアのゴラン高原でも広まっている抵抗は、私たちの土地を占領したシオニストを追い出すという一つの目的のもとに団結している。だからこそガザと西岸を離して考えてはいけない。もちろん、各地域の抵抗行動や戦闘戦略に違いは存在するけれど。

パレスチナで最も大きいアナキスト運動として、FAUDAは世界各地で自由を求めるあらゆる運動に助けを求めてきた。これらの運動は様々な面で私たちの助けになれる。まず一つに、金銭的援助になれる。私たちは、戦争兵器を使って毎年知人や友達を数何百人も殺しているイスラエル警察に対抗するための装備を必要としている。でもこの装備を手に入れるためには多くの資金が必要になる。イスラエルはアメリカなどの支援により最新の軍事装置を使っているのに、それに対抗する私たちはとてつもなく限られた設備しかない。そこで私たちは[編集]を届けるために資金を必要としている。また、私たちの仲間は被害者や投獄者の家族が最低レベルの福祉を受けられるように金銭的サポートをしている。あなたも私たちと一緒に、抑圧された人々を助けることができる。

二つ目はメディア・アシスト。もし私たちと共にコンテンツを作って報道してくれるチームがいれば、ぜひ手を組みたい。これはガザでとても重要。メディアを見ると、ファシスト政府と手を組んだ西洋メディアは、何千人もの女子供や高齢者の弾圧については指一本触れていないことがわかる。だからみな医療品の不足や安全な飲料水不足など、ガザで起こっている非人道的な出来事の多くを知らない。あなたのサポートによってガザのFAUDAの若者はドキュメンタリーを発表できるし、アナキスト・メディア団体を通してそれを世界に届けられる。今の戦争では多くの西洋メディアが真実に対し目を閉じてしまっていて、イスラエルが被害者でパレスチナ人がテロ**トとして報道されてるって!

三つ目はキャンペーンのオーガナイズだけど、セキュリティー上の理由により詳細は話せない。自由意志論者 (アメリカ外では「自由意志論者」はアナキストの同義語として昔から使われてきた) は世界中で様々な形のファシスト政権に抵抗し続けている。私たちもイスラエル警察と戦っているから助けが必要だ。

四つ目に、私たちは世界にこのパレスチナで生まれた運動を知ってもらうために、インタビューやミーティングに参加することを望んでいる。私たちはすべての報道機関やプレスに、この運動を世界中で自由のために戦っている人々のもとに届けるようお願いする。記事を書いて報道したり、パレスチナ初のアナキスト運動に関するドキュメンタリーを作るのもいいね。

今パレスチナには約15個以上の反シオニスト・レジスタンスグループがあって、私たちの運動はその中の一つだ。ハ*スやイスラム教・ジハドもここに含まれている。すべての反抗運動は同じ目的のもとに共に動いている。それぞれを分けて考えるべきではない。イスラエルは左派とハ*スのようなグループを区別し、その区別を自分たちの都合のために利用しようとしている。だから私たちも敵の思惑通りにならないように警戒しなければならない。ハ*ス、イスラム教・ジハド、キタブ・アル・アクサなどの武力抵抗は、反シオニストの立場や行動を理由に昔から西洋メディアに攻撃されてきた。

メディアで報道されているハ*スのイメージは真実ではない。彼らがガザの占領地区に入ったとき、子供や高齢者を追いかけていないし、だれの首も切っていない。戦いが始まってからの数時間、イスラエル政府はハ*スがユダヤ人の首を切り虐殺すると報道し、その後アメリカ政府も同じ報道をした。後日彼らは証拠がなかったためその発言を取り消した。

けれどハ*スと私たちに戦い方の違いはある。FAUDAはイスラム教徒、ユダヤ人やキリスト信者を含むすべての人々がアパルトヘイトに対する民衆的、国民的抵抗に参加するよう呼びかけてきた。それに比べハ*スは完全にイスラムの運動だしイスラム教徒以外は参加してない。けれどそれは問題ではなく、今はパレスチナ解放運動内で対立をしている時ではない。

私たちが運動を始めたころ、*****の幹部が私たちに接触してきた。彼らと会合を持ち、私たちの運動の質や量について話し合った。彼らは反シオニスト抵抗運動にキリスト教やユダヤ教のパレスチナ人が参加することに対して全面的に同意した。

つまり、ある分野に関しては意見の違いが存在しているけれど、目的は一緒だからその違いを上げている場合ではない。また、今ハ*スは戦争中であり、私たちはこれ以上コメントできない。

ここでは活動的で効果的なアナキスト団体はとても少ない。多くは活動をやめてしまった。ただ、私たちが手を組み共に戦っている団体も少なからず存在する。イスラエル、すなわち1948年の占領地区では、ユダヤ人の若者による反シオニスト・アナキスト団体も存在していて、私たちは彼らを支持している。けれども西岸地区やガザでアナキスト思想をもとに活動しているのは私たちだけで、残念ながら今のところこの考え方はアメリカやヨーロッパのように広まってはいない。

私たちは人種、宗教や部族関係なくパレスチナ人と共に抵抗してくれる仲間を集めている。この数年、多くのユダヤ人の若者が手を貸してくれたし、イスラム教徒やキリスト教徒も多く運動に参加してくれている。私たちは全国的かつ大衆的な同じ最終目標を持つ一つの運動をリードしているんだ。

パレスチナをサポートしたい人は以下の二つのことができる:

1. FAUDAの旗をプリントして、それを持って仲間と街に出てビデオを撮る。私たちがそのビデオをシェアすることによってパレスチナの人々に世界のサポートを見せてあげられる。

2. 寄付をする。シオニストに抵抗するためのアイテムをそろえる資金が必要だから、そのサポートになる。

抵抗の最前線にいるパレスチナのアナキストをサポートするために、自立した直接行動による相互扶助の輪に参加しよう!VENMO: aid across-borders, note « fauda » [このアカウントは禁止された]

FAUDA とQ&A: 世界中のアナキストとそうでない人からの質問

まず、「二国家解決」に関する質問に対してだけれど、私たちは絶対に二国家解決を受け入れない。想像してみて。誰かが強制的にあなたの家を強奪する。あなたが抵抗して家を出て行こうとしないのを見ると、彼は家を二人で共有することを提案する。あなただったらこの提案を受け入れられる?この状況の不条理さを理解できるなら、次の状況も理解できるでしょう。通りであなたの携帯が盗まれ、犯人は捕まったけれど、その携帯を共有するか、携帯を売ってお金を山分けしないかと提案してくる。または、誰かがあなたの車を盗んだけれど、あなたがその車を絶対にあきらめないことに気づき、車を二人で使うか売ってお金を山分けしないかと提案してくる。

シオニストの言い分に匹敵するこのような例はたくさんあるけど、まともな思考の持ち主だったら絶対受け入れられるはずがない。なぜ私たちパレスチナ人が「二国家解決」を受け入れられると思うの?

私たちは「二国家解決」を完全に否定する。けれどそれはパレスチナがユダヤ人を受け入れないという意味ではない。シオニストに土地を占領される前は、みんなで平和に住んでいたし、イスラム教徒、キリスト教徒、ユダヤ人やほかの宗教との間にも問題はなかった。

私たちは個人と共同の自由を目指している。実をいうと、どの国家にも支配されたくないけれど、今その話をするとややこしくなる。パレスチナの状況はアメリカやヨーロッパとは全く異なる。

私たちは、現在のマハムード・アッバス率いるパレスチナ政権を否定するし、すべてのパレスチナ人の自由を奪っているシオニスト政権も完全に否定する。

正直、現在私たちが持っている現実的な解決策は一国家解決だけだ。ただ、それは将来的に他の選択肢を提示しないという意味ではない。もしかすると状況が変わって他の解決策が追求可能になるかもしれない。私たちアナキストの焦点は新しい世代に置かれている。新しい世代はどのようにイスラエルとの対立が始まったのかを知らなければならない。今のイスラエルメディアは歴史的事実をひっくり返そうとしている。アラブ語の「マカン」チャンネルは、一日中映画やドキュメンタリー、テレビプログラムを流して新しい世代を洗脳し考え方をコントロールしようとしている。

今イスラエルが行っていることでとても危険なのは、裏切り者のパレスチナ政権を使ってアラブの学校の授業を自分たちに都合の良いように変えようとしていること。言い換えると、イスラエルは私たちとの文化の違いさえも受け入れられないんだ!アパルトヘイト政権によるこのような政策を見ていながら、イスラエルが二つの独立した「国家」の樹立を目指しているなんて信じられると思う?彼らがパレスチナを独立させてくれるなんて信じられるわけがない!これは全部嘘。イスラエルは過去75年間多くの嘘をついてきた。私たちはもうだまされない。まずイスラエルの明確な政治的、文化的、思想的目的を見極めてから、こうしたイスラエルの人種差別的行為に対立するために、パレスチナ文化にあったアクションを組織する。

パレスチナのアナキストとしての主な課題は、個人と社会の自由を手に入れること。過渡期にある労働者中心の政府でも、独裁や非正義、他人の自由を奪う権力の乱用などの大きな問題につながることが多い。法律や国家による社会運営に過度に焦点を当てることは、権力の集中につながり、過去のマルクス主義運動でも多く見られたように独裁や腐敗につながる。そのため私たちは国家の完全な廃止が必要だと信じているけれど、もしそれが不可能ならば、社会全体が参加可能な小規模で権力の限定された政府でなければならない。

ただ、これは今のパレスチナの主要な問題ではない。今私たちは戦争の雰囲気の中で生きていて、私たちはまず占領政府を無くしたい。だから今のところ誰も国家の話はしていない。今の状況ではその問題を扱う余裕はない。私たちは今危機を経験している。私たちは全力を尽くすけれど、パレスチナの人々がこの思想を受け入れてくれるのはおろか、理解するまでにも長い時間がかかるだろう。パレスチナに住むほとんどの人は宗教的な空気感の中で生活しているし(イスラム、ユダヤ、キリスト教、その他を問わず)、アメリカやヨーロッパなどとは完全に異なる文化の中で生きている。そのため、パレスチナの人々は社会階級の存在や違いをごく自然で感覚的なものとして捉えることがある。もちろん、パレスチナ社会の、特に上の世代にとって受け入れがたいこともたくさんあるだろう。それは彼らが宗教的で伝統的な価値観の中で育ったからだ。

こんな中私たちは何ができるだろうか?まず、ほかの世代よりも活動的でいきいきとし、私たちの新しいアイデアをより簡単に受け入れてくれる新しい世代に焦点を当てる。次に、今は変革的な話をするのに適切な時期ではないから、同じ目的を達成するための連帯と協力を強調する。ユダヤ人、キリスト教徒、イスラム教徒、LGBTQ+などいろいろな宗教やオリエンテーションの人たちがともに戦ってくれている。今、パレスチナのメディアは西洋を中心に多くの国でブロックされている。私たちは世界の仲間たちに、パレスチナ報道のニュースを英語やヨーロッパ、アジアやアフリカの言語に訳し、自国で報道してくれるように頼みたい。しかし残念ながら今のところ誰もこの呼びかけに答えてくれていない。私たちはすべてのアナキストの仲間たちやパレスチナと連帯してくれる人たちに、有名な欧米の政府系チャンネルで流されるパレスチナの報道に満足しないよう呼びかける。彼らは事実を捻じ曲げ、パレスチナで本当に起こっていることは報道しないからだ。

第四部 メンバー3

[ここ数週間、西岸地区でのイスラエル人入植者の武装化を含む急激な虐殺や暴力の悪化により、インタビューを終えることはできなかったが、近い将来この続きができることを願っている]

私は学問的な研究に関しては知識がない。インタビューもこれまでやったこともなかった。私はただFAUDAのアナキスト仲間たちと共に活動するパレスチナ人の女性。イスラム教徒のパレスチナ人家族に生まれて、三歳年上の兄と四歳年下の妹がいる。子供の時の生活は普通で、全てが順調だった。でも大人になったとたん父や兄との関係に問題が生じ始めた。私の性格は周りの女の子とは違った。元々、檻の中で暮らすのには我慢がならなかった。パレスチナの伝統的なアラブ家族に生まれた女性は、(例外がない限り)家から出ずに料理や掃除、縫物などの家事をしなければならない。でも私はこうした仕事が好きではなかった。だから学校から帰ると、大学で勉強していた年上の女友達のところに会いに行っていた。彼女は素晴らしい絵を描いていて、私も絵を描くのが大好きになった。彼女とは何についても話せた。すごくきれいな子だった。大好きだった。一方で、父や兄との関係は日に日に悪化するばかりだった。私は二つの別世界の間を行き来しているようだった。大好きな友達の世界と、私のプライバシーや境界線を破り続ける憎しみ、命令、禁則でいっぱいの二つ目の世界。

想像して…私は次のような言葉を毎日のように聞かされていた。

そんなタイトな服を着るな。

なんで遅れたんだ?

どこにいたんだ?

あんな人を友達に持つんじゃない。

なぜそんな化粧をしているんだ?

なんで小声でしゃべるんだ?

このように私個人のプライベートな決断を問う質問をたくさんされた。自分自身でコントロールできるものは何も残っていなかった。自分の人生の中で本当に欲しいもののために何を経験するかを自分で決めるまでは、何も残されていなかった。私の人生のすべてが父、時には兄の支配下にあった。彼らは私がいつ、どこで、何を、どのようにすべきかを全て決めていた。家の中で心を許して話せるのは母親だけだった。母は私を愛してくれていたけれど、私のために父に歯向かうことはできなかった。彼女も女性だけれど、この家で女性が何を手にしていたというのだろう?何もなかった。と、この話は永遠に続けられるけれど、省略する。私はある日友達の家で大学の話をしていた。どのように会話がそこへ向かったかは覚えていないけど、大学に自由と解放について話す若者たちがいて、彼らは人権が人生で一番大切だと信じ、アナキズムと呼ばれる思想を取り入れている、という話をしてくれた。

これが初めてのアナキズムとの出会いだった。数週間、数か月たった後、友達にその青年たちを紹介してくれるように頼んだ。それがFAUDAとの出会いだった。私が置かれていた厳しい状況のせいで、大学に通うことはできなかったけれど、フェミニズムとアナキズムが女性に自己決定権があるというのであれば、私はフェミニストでありアナキストだ。私を檻に入れ、生き方や行動を決めようとするものには耐えられない。