ロレンゾ゠コムボア゠アーヴィン

黒人アナキズムの継続的必要性

2026年5月17日

      黒人反ファシズム運動

      ICEは本質ではない

      黒人アナキストへのメッセージ

他者と協力できるとしても、我々自身の意見を言えるようにならねばならない。

私は1969年にマーティン゠ソストレと出会って以来、アナキストと自認してきた。彼は有名な黒人政治犯で、ニューヨーク州刑務所制度における「獄中の弁護士」として知られていた。彼が収監されていた連邦拘置所へ私もまた放り込まれたのである。米国当局から飛行機をハイジャックしてキューバに向かった罪で逃亡中、東欧(チェコスロバキアと東ドイツ)で追跡され、逮捕された末のことだ。

欧州から米国に連れ戻された後、私はブラザー゠マーティンから法的支援とアナキズムの政治教育を受けた。彼はニューヨーク州立刑務所に収監されていた間にアナキストとなった人物だった。その政治教育は僅か数カ月間だったものの、私の人生を一変させた。マーティンと同様、私も長期の政治囚となり、刑務所内の弁護士になったが、何よりも重要なのは、私が無政府共産主義者・サンジカリストになったことである。私の知人のアナキストや支援者の多くは、1970年代から1980年代に私が服役していた時に知り合った人達だ。受刑者の権利を巡る闘争や、1960年代のブラックパワー運動に参加した黒人活動家への残忍な弾圧は、米国や英国、そしてその他の黒人世界で展開されていたのだ。

私は、アルバート゠メルツァーとスチュアート゠クリスティーが英国で再結成した「アナキスト黒十字(ABC)」の一員となった。ロンドンのABCは、ロシア革命期(1905年~1917年)に活動した元々のABCを母体として、1967年から1968年にかけて再組織化された。この団体と、オランダのアムステルダムに在る「受刑者拷問反対支援委員会」は、私の弁護に関わった主な国際支援団体で、米国当局に多大な圧力を掛けた。最終的に、これが私や他の囚人の釈放へと繋がったのである。

1970年代から1980年代にかけて、北米の様々な受刑者支援団体と「受刑者解放運動」は、当時最も重要かつ活発な潮流であり、数千人の受刑者と外部の支援者を組織して大規模な運動へと発展していた。

私が黒人アナキズムの考えを抱くようになったのは、刑務所に収監されていた時期である。それは、黒人労働者階級が単なる搾取される労働者ではなく、抑圧された民衆であるという認識と結び付いていた。私は、米国の黒人が単なる人種差別だけでなく、国内植民地主義にも曝されていることを理解した。やがて、多くの黒人受刑者もこの政治的立場を受け入れるようになった。政府が公民権法を成立させさえすれば我々は実際に解放されるという考えは誤りだと証明された。我々を確実に解放できるのは、黒人大衆自身だけだ。他者と協力できるとしても、我々自身の意見を言えるようにならねばならない。政府がどれほど「更生」や「法と秩序」についてプロパガンダを繰り広げ、口先だけで語ろうとも、刑務所は黒人や貧困層のための強制収容所である。全て嘘だ。米国の刑務所制度下で何百万人もの人々に対する残忍な弾圧を覆い隠すための、単なる隠れ蓑に過ぎない。

黒人反ファシズム運動

ブラックパワー、とりわけブラックパンサー党は、ほぼ発足当初から反ファシズム運動であり、武装自衛を実践し、警察権力への反対や反政府を掲げていた。彼等は、黒人解放を求め、あらゆる形態の白人至上主義に立ち向かう運動の一翼を担っていたのである。

実際、黒人の自由を求める闘争には常に反ファシズムの傾向があり、1920年代の南部諸州では、白人レイシストによるリンチと数千人の黒人の殺害に対抗していた。そこでは、黒人の公民権運動家や黒人共産主義者が、ファシストでテロリストの白人至上主義運動クー゠クラックス゠クラン(KKK)との闘争を主導していた。KKKは1868年から1870年にかけて結成されたが、1920年代までには数百万人の会員を擁する巨大組織へと成長していたのである。南部の黒人活動家アイダ゠B゠ウェルズはこうした時代に頭角を現し、反リンチの大衆運動を率いたのだった。

ウェルズのリンチ反対運動に加え、この時期には、公民権運動・黒人ナショナリズム・共産主義など、あらゆる系統の黒人反ファシスト団体が現れ、1920年代から1930年代にかけて反KKKの大衆的潮流が形成されていった。

1960年代までに、米国における人種差別主義・警察による組織的殺人・大量投獄に抗議する黒人の闘争は海外へと広がり、反植民地主義運動と結び付いていった。

従って、1960年代の黒人反ファシズム運動を考察する際には、第三世界の解放運動を急進化させたブラックパワー運動の影響を認識しなければならない。1961年に出版されたフランツ゠ファノンの著書『地に呪われたる者』に示された急進的な反植民地主義思想は、世界中の黒人活動家に深甚な影響を与えた。この本はブラックパンサー党の党員にとって必読の書だった。ブラックパワー運動は、黒人人口が相当数存在する英国のような国々だけでなく、学生非暴力調整委員会(SNCC)の影響を受けた黒人意識運動が展開されていたアフリカでも強力だった。SNCCは、文化的・活動的・反植民地主義的な運動としてのブラックパワーを誕生させ、とりわけカリブ海地域・アフリカ・世界中の黒人ディアスポラの運動をも生み出したのである。

黒人とアフリカ人それぞれの経験こそが、黒人が単に白人の急進派グループに加わるのではなく、自治的黒人運動を必要とした理由である。抑圧された黒人を代弁できる者など、誰一人としていなかったのだ。人種差別・奴隷制・植民地主義を経験したことのない欧州人には、それを理解する基盤がなかったのである。

黒人の反ファシズム政治とその歴史に関する書籍の中で、群を抜いて優れた一冊といえば、ジャネル゠ホープとビル゠マレン著『黒人反ファシズムの伝統(The Black Antifascist Tradition)』である。この本はこの分野における最も詳細な研究であり、2024年に出版されたことで、現代の「ブラック゠ライヴズ゠マター」運動や黒人アナキズムの台頭までをも網羅し、米国における人種的抑圧の長い歴史を詳述している。更に、米国の国家ファシズム・帝国主義・国内植民地主義・国家機関による大量殺戮に関する諸理論を提示しており、黒人反ファシズムの伝統を理解するための主要資料となっている。

私は長年にわたり、主として白人のアナキズム運動に向け、台頭しつつある黒人アナキズム運動を支援すべきだという趣旨の文章を執筆し、演説してきた。私は常に、アナキストが黒人アナキズム運動の前進を支援する国際連帯運動を構築すべき理由、そして同時に、黒人運動が自治的であり続けなければならない理由を語ってきた。

私は常々、黒人のアナキストは、自らの抑圧の歴史・思想的信念・独自の綱領に基づいて、自由に自らの運動を組織する権利を持たなければならないと主張してきた。この点を訴えるために、私は1979年という早い時期に著書『アナキズムと黒人革命(Anarchism and the Black Revolution)』を執筆し、1994年にはジョージア州アトランタ在住中に、同種のものとしては初の黒人アナキスト連盟(黒人自治連盟)を共同設立した。白人急進主義者との確執にはうんざりしていた。彼等は、我々の主張に不快感を抱き当惑したというだけの理由で、私や他の黒人活動家に対し、アナキストとして組織化する権利などないと言い続けていたのだ。

しかし、長年にわたり私は、アナキストを含む白人急進主義者が、独自の綱領や運動を展開する黒人アナキストを批判し、不当に攻撃し続けているのを目にしてきた。私自身も、様々なアナキストや社会主義者の集団において、同様の扱いを長年受けてきた。これは、白人急進主義者による甚だしい過ちである。

2026年、我々は今、世界大戦と核の恐怖を引き起こしかねない米国のファシスト国家と大統領独裁体制に立ち向かわざるを得ない情況に置かれている。黒人である我々は皆、大量虐殺や国家テロリズムに直面しているのかもしれない。1人ずつ死んでいくか、互いのために戦うか。我々にはそのいずれかしかないのだ。自らの命と自由のために戦わなければならない。ドナルド゠トランプと彼の「MAGAのウジ虫連中(MAGAotts)」は、政府が組織し支援している危険な大衆ファシズムの潮流を体現している。この政府支援のファシズム運動は、1920年代のKKKよりも危険な脅威である。当時のKKKは米国で数百万人の会員を擁し、連邦政府を支配していたが、実権を握ってはいなかったのだ。

トレイボン゠マーティンがリンチ同然の形で殺害されたことを受けて2013年に設立されたブラック゠ライヴズ゠マター(BLM)は、現代において重要で、恐らくは最も組織化された黒人抗議運動である。実のところ、BLMは発足以来、最も重要な黒人抗議運動であり、人種差別・警察の組織的テロ・黒人コミュニティに対する政府の弾圧に反対している。しかし、これは社会全体を変革しようとする革命運動ではない。BLMが求めているのは、資本主義の破壊ではなく、国家暴力を抑止するための改革である。

現時点まで、BLMはトランプやMAGAに直接対抗する必要はないと感じ、初期のブラックパンサー党とは逆に、課せられた枠組みを受け入れているように見える。

しかし、歴史的にそうであったように、黒人は自らの運動を築き上げなければならず、白人急進主義者に全面的に依存することはできない。白人がなすべきことは、黒人への弾圧に抗する物質的援助と支援を提供すべく、白人自身による連帯運動を構築することである。無条件に支持するつもりがないのなら、邪魔をしてはならない。

悲しいことに、白人のアナキストは、今日に至るまで長年、黒人のアナキストや黒人の活動家と団結してこなかった。今、信頼関係を築くためには、白人のアナキストは、そもそも参加を求められるのであれば、自らの身を危険に曝すべきだ。黒人に白人グループへの参加を命じるのではなく、自らの行動で示さなければならない。

ICEは本質ではない

考えてみてほしい。ICEに対する正当な怒りはもっともだが、黒人は何十年もの間、FBI・州警察・市警察によって組織的に殺害され続けてきたにもかかわらず、米国の白人の大半は沈黙を守ってきた。怒りは当然だが、ICEは新たな警察テロ装置に過ぎず、最も多くの命を奪っているわけでもない。白人が殺されてようやく、ICEや警察全般がそもそも我々全員にとってのテロであることを、より多くの白人が実感しただけのことだ。

ICEだけに留まらず、あらゆる国家主義的警察テロに対して、反ファシスト団体の共同戦線が必要だ。白人にテロが及ぶまで待つな。さもなくば、ファシストによる大量殺戮が我々皆の日常と化してしまうだろう。

最後に、黒人のアナキストへ。ファシズムはすでにここに存在している。現実なのだ。国家に踏み潰され、根絶やしにされる前に、組織化しよう。

黒人アナキストへのメッセージ

黒人アナキストは、長きにわたり我々を拒絶してきた白人のグループに加わるのではなく、反ファシズム闘争の長い歴史に学び、この時代に新たなものを築き上げなければならない。我々は、独自の自治的集団と綱領を確立して初めて、他者と協力することができる。他者からの連帯を受け入れつつも、自らを率いるのは我々自身なのだ。

黒人活動家は、戦争・大量投獄・警察による殺害・人為的な貧困・米国における人種アパルトヘイト経済など、国家による数々の犯罪に対して、獣の腹の中から反撃を加えるべく、黒人アナキストの潮流を築き上げなければならない。

既に述べたように、黒人アナキズムは欧州のアナキズムに由来するだけではなく、黒人の急進的な伝統に根差している。黒人アナキズムは、反権威主義だけでなく、反植民地主義・汎アフリカ主義・反資本主義・反帝国主義・無政府コミュナリスト・その他の黒人の急進的な理想を包含する。だからこそ、我々はそれを黒人自治と呼び、黒人の急進的な伝統を主張しているのだ。

黒人アナキストは革命的コミュニティ゠オルガナイザーでなければならない。怠惰な知識人に留まってはならない。黒人コミュニティの中で、生きたプロジェクトを構築しなければならない。

黒人アナキストは、自らが米国や英国で歴史的に抑圧され、植民地化されてきた独自の民族に属することを理解しつつ、世界中の黒人との団結の必要性も自覚せねばならない。


https://note.com/bakuto_morikawa/n/nb6d5e3f708e2(2026年10月17日検索)
この記事は、元々『フリーダム(Freedom)』アナキスト゠ジャーナル第86巻第1号(2026年夏号)に掲載された。