ドイツの赤黒派再建

伝統的にドイツのアナキズムには多様な顔がある－－特に、過去数十年は概して、組織と階級意識を否定する自律的構造に焦点を当てた個人主義諸傾向が支配的だった。

しかし、ここ数年で、無政府共産主義が再び増加している。サンジカリスト労組の「FAU（自由労働者組合）」・綱領主義組織の「Die Plattform」・「Perspektive Selbstverwaltung（パースペクティヴ：自治）」・様々な地域の小規模グループがメンバーを増やし、勢いを増している。こうしたグループは、社会闘争に根ざした強力な運動ではないものの、唯物論的世界観の重要性と階級闘争の現実を余りにも認識していなさ過ぎるドイツの左翼サークルを切り抜けて進もうとしている。

ドイツ語圏メディア゠プロジェクト「anarchismus.de」は、階級闘争と広義の社会的アナキズムに関わる全ての人に対するニュース・情報・議論のハブを創り出すために、2021年初頭に創設され、急成長している。創設者はドイツにいる無政府共産主義者コレクティヴであり、その内数名は既にアナキストのポッドキャスト「Übertage」（ルール地方の鉱山用語で「地上の」を意味する）に取り組んでいた。

アナキズムは19世紀と20世紀の労働者階級闘争から生まれた伝統である。「anarchismus.de」は、様々な労働者階級グループと組織的無政府共産主義を支持する個々人を結び付けようとしている。そのために、ニュースと歴史的情報を共有し、理論の発展と議論を奨励し、（無政府共産主義について学びたいと思っている全ての人に）広範な読書リストをキュレートし、組織化を目指すアナキスト仲間からのコンタクトを受け付けている活動的組織とグループのマップを更新している。

メディア゠コレクティヴとして、私達は、無政府共産主義を可視化し、その形成力を強化したいと思っている。

ドイツにおける最近の大きな社会紛争の間、公的会話を支配しているのは通常2つの立場しかなかった。支配的な進歩的新自由主義と右翼ポピュリスト「反対派」である。急進主義左翼は、大抵、極右との戦いに集中し、自由主義への一貫した批判を控えている。右翼の術中にはまるのを恐れているのかもしれないし、自らの大志をほとんど持っていないからかもしれない。

私達は強く信じている。こうしたパターンを打破しなければならない。無政府共産主義者として、私達は、現在のあらゆる関連問題の議論において、信頼できる一貫した第三の立場として自らを確立しなければならない。革命家として、私達は、新自由主義主流派とそのポピュリスト疑似反対派双方に公然と疑義を呈しなければならない。

今日のドイツの情況を見ると、社会的アナキズムはその戦術を充分発展させておらず、これら2つの声高な公的説話とその論点に対抗する新しい理論を生み出してもいない。しかし、私達は、世界を根本的に変えるために、世界を、そこで私達が果たしたいと考えている役割を、明確に理解しなければならないのだ。歴史的アナキズムとマルクス主義による資本主義分析（他の急進主義の理論的伝統も）との組み合わせは私達の良い出発点になった。だが、現在の社会的諸問題とそうした諸問題に対する社会の対応を考慮するには多くのレベルでさらに発展しなければならない。大衆闘争に自ら働きかけつつ批判的理論を精緻化させ、様々な闘争の激化・連携を求め、思想と戦略を広めようとする革命組織が絶対的にもっと必要なのだ。

コレクティヴとして私達は、強力なメディア゠プロジェクトこそ、人々に影響し、必要な分析と議論を促す場を切り開くための中核的要件だと考えている。政治的右翼や新自由主義者を見れば、残念ながら、様々なプロジェクトを使って非常にうまく社会全体の言説を積極的に形成できていると分かる。急速に変化する世界を常に把握するために、私達は至急、無政府共産主義分析を更新するだけでなく、大多数にとって主要な情報源となっている現代メディアに関与しなければならない。

組織された労働者階級社会的アナキズムの範囲内で、「anarchismus.de」は横断的メディアになろうとしている。私達は、サンジカリズム・綱領主義・アナーコフェミニズムだけに特化しているのではなく、ドイツ語圏の無政府共産主義者（になる人）との最初の接点になろうとしている。様々なメディアにおける運動構築と労働者階級アナキズムの可視化を重視しながら、同時に、「anarchismus.de」は公刊するものを全て有益で分かりやすくしようとしている。私達は、過度に複雑なテキストを公刊したいわけでも、労働者階級は複雑なことを分析・理解できないと仄めかしたいわけでもない。

「anarchismus.de」はニュースブログ・アーカイブ・連絡先登録をホストしているが、単なるウェブサイトではなく、コミュニティ゠プロジェクトでもある。参加の敷居を低くするために、投稿を受け付け、人々とプロジェクトを繋ぐために活発でオープンなディスコードサーバーを運営している。他のメディア゠プロジェクト（例えば、ポッドキャストやソーシャルメディア゠チャンネルなど）との緊密な協働も労働者階級連帯の重要な側面である。

オンライン活動に加え、このコレクティヴは、一連のアナキズム入門パンフレット・古典的テキストの新訳・現代的関心事に関わるオリジナル資料の出版によって「現実」世界にも進出している。さあ、組織を作ろう！

－アンナ