タイトル: 抵抗委員会のマニフェスト
発行日: 2022年5月
ソース: https://note.com/uarentaibokin/n/nf76388e38daf(2023年12月21日)

基調

プーチン体制とその帝国主義は何をもたらすのか? 私たちはドンバスとクリミアの悲惨な例によってそれを見た。ベラルーシとカザフスタンの人民に対する血なまぐさい弾圧、ロシア国内の抗議運動の潰滅、シリアの諸都市への砲撃のなかにそれを見た。しかし、プーチンにはまだ十分ではなかったようだ。2022年2月24日、プーチンはウクライナに対する全面戦争を開始した。今日、奴隷化に対する抵抗の震源地はここにある。ウクライナ人の闘いは、プーチン主義に抑圧されたすべての人々に解放への希望を与える。

何世紀もの間、ウクライナ地域は帝国の野心と侵略の境界線上にあった。自由な精神を持った人々が、専制を逃れてここに集まってきた。その中には、コサックや山賊といった叛徒たちも含まれていた。英雄的なマフノ主義者たちは、人民の自由のために、あらゆる支配者に対抗してこの地で戦った。

今日のウクライナにおける戦争は、あらゆる権威主義からの人民の自由のための闘いの継続である。ウクライナの住民だけでなく、他の多くの国の人々も、かつての民衆の闘いと革命家たちの努力によって獲得されてきた自由と権利を守るために、共に戦っている。今日、ウクライナ国家が前面に出ているとしても、侵略に対する抵抗を担っているのは広範な民衆である。

われわれは何者か

抵抗委員会は、アナキスト、リバタリアン、反権威主義的イニシアチブの対話と調整のための空間である。

私たちは、ウクライナとすべての東欧諸国が独裁から解放されるべきだと信じている。自由、連帯、平等は、この地域における社会の組織化の大原則とならなくてはならない。

私たちの仕事は、私たちの理想と価値のための効果的な闘争のために、権威主義に反対する闘士たちの努力を結集することだ。私たちは、ウクライナとこの地域全体の未来に影響を与え、すでに存在する自由を守り、その拡大に貢献することを目指す。

われわれの原則

"私たちの自由とあなたたちの自由のために!" 私たちは、残忍なプーチン主義の軍隊として現在、ウクライナに存在している帝国支配の敵である。私たちはウクライナ社会のために戦い、ロシアの占領者がウクライナ社会にもたらす破壊と死に対して闘う。今日、ウクライナ国家がこの闘いを共にしているとしても、それは私たちがその支援者になったことを意味しない。

我々はロシアとベラルーシの人民を敵だとは思っていない。私たちは、自由な心を持つすべてのロシア人とベラルーシ人に、共に独裁政権と闘うことを呼びかける。

私たちは理解している。モスクワの専制政治の温床が取り除かれるまでは、この地域全体が常に自由に対する妨害に直面することになることを。全ての地域的な暴君たちは、抵抗する民衆を弾圧するために「モスクワの皇帝」の支援を受けるだろう。私たちは、自分自身と隣人たちの自由を望む。だとすれば、プーチン政権を終わらせるべきなのだ。

私たちは正義を求める。私たちは、人間の間にあるあらゆる形態の抑圧、支配と服従の関係、社会的不平等に反対する。すべての抑圧者は打倒されなければならない。専制政治は、社会のすべての人による自由で平等な協力に取って代わられなければならない。私たちが今、行っている活動は、この原則に基くものだ。

社会における権力と富の不均衡が克服されない限り、正義はありえない。

ジェンダー平等、環境へのケア、そしてあらゆる差別の克服なしの正義など、私たちには想像もつかない。

私たちは連帯を求める。競争よりも協力を優先する。エゴイズムやアトム化ではなく、親密さと協力を。しかし私たちは、すべての個の独自性や差異を否定することはしない。すべての人間の自由は、他者の自由の中に生きている。すべての人が自由になるまでは、誰も自由ではない。

われわれは何をするのか

今日、ウクライナでは、反権威主義者が侵略に対する抵抗の主要な領域に積極的に参加している:

1.戦場において

2.市民ボランティアの中で

3.メディア活動の中で

抵抗委員会の任務は、これらのプロセスに積極的に関与しているさまざまなグループや個人の間のコミュニケーションと調整を保証することである。

侵略者と戦う以外に今、何ができるのか?

ウクライナ社会がどのような形になるかは、我々にとって非常に重要だ。私たちが求める変革の概要は次のとおりである。

ウクライナの不当な対外債務を帳消しにすること――これは、国際金融機関や裕福な国々がウクライナの首にかけた縄である。プーチン政権に対するウクライナ人の闘いによって、他の国々も利益を得ている。対外債務の帳消しは、連帯を示す一つのかたちとなるだろう。

低・中所得のウクライナ市民に対する債務救済の実施。人々の債務負担は、経済システムの欠陥の結果である。抵抗を続ける国の人々はこの重荷から解放されるべきである。

草の根の自己決定機関としての「評議会(アセンブリ)」システムの確立。それは公共の実践となるべきである。「評議会」は地域と職能(労働組合など)において形成されなければならない。労働組合の発展は、労働者が自分たちの経済的利益を集団的に保護する手段を作り出すことを意味する。

地域共同体(フロマダ=村落レベル)にもっと多くのツールやリソースを提供すべきである。特に、この戦争の中でその妥当性が明らかになった地域の自己防衛の組織化の実践を拡大しなくてはならない。

侵略者と戦うすべての外国人に、ウクライナ市民権または永住許可、すべての社会サービス、医療保険、そして住居を与える。

居住施設を利用しやすいものにする:社会的/自治体経営施設の適切な家賃設定、不動産購入のための低額の融資、若い家族やその他の弱者グループが無料で借りられるアパート。

医療費の無料化、官僚の最少化、あらゆるレベルの医療従事者への適正な給与の保証。

公共交通機関の無料化。

低所得者に対する社会的支援・補助:基本的な商品やニーズへの大幅な割引や無料アクセス。

女性の自由を保障するための効果的な手段をつくり出すこと。特に暴力に対して。私たちは、すべての地方自治体に国家機関から独立した女性の自律的な組織を創設することが必要であると考える。また、女性に対する暴力を抑止する女性防衛部隊の結成も必要である。女性たちの自律と女性部隊は、正規軍のなかにも形成されるべきだ。侵略者からも、その他の犯罪者からも、ジェンダーによる暴力を許してはならない!

エコロジーに対する責任意識を高めること。地域社会のニーズに合わせて構成された、生態学的に人間に比例した技術の導入。

侵略者から自らの身を守るための自衛手段への公共的アクセスの条件づくり。武器へのアクセスの簡素化。最新技術に基づく教育と軍需産業の発展の統合。国の防衛能力を強化する専門家を育成できる教育プログラムの開発。地域防衛の次元で軍事技術を習得する機会づくり。官僚主義の最小化と水平的意思決定の原則の拡大。労働時間の平常復帰。軍務に就くビーガンのための栄養価の高い食事提供の制度化。

このマニフェストは決して最終的なものではない。私たちは、実践の過程でこれを補完し、修正する用意がある。